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Column

建築について

とかく建築工事は複雑で分かりにくいという意識がありますが、世の中の他の業種と違った特別の組織や形態、経済観念であるはずはありません。

たしかに多様な組織がかかわり多種多様に関係していますが、ひとつひとつ解きほぐしていきたいと思います。

一戸建て住宅を建築する場合のパートナーと方法はいろいろあります。
△ ハウスメーカー (○○ハウス・△△ホーム等)

△ 工務店 (○○工務店・△△組等)

△ 直営

△ 設計事務所

少し一般的な特徴を簡単に紹介します。

◇ハウスメーカー
設計・施工を一括して依頼することが一般的。手間、時間をかけずに家を手に入れることができる。展示場を見に行けば出来上がりがどんなものか現物として見る事ができる。設計・デザインの自由度は低い。

◇工務店
設計・施工を一括して依頼することができる。メンテナンスに比重を置く為、設計よりも施工のしやすさが優先されがち。設計・デザインの自由度は比較的ある。

◇直営
施主(家を建てる人本人)が直接工事する業者と契約し工事をする方法。設計事務所が指導するオープンシステムも工事の方式は直営。

◇設計事務所+工務店
設計は設計事務所が担当し、施工は工務店が行う方式。

それぞれにメリット・デメリットがます。順次このページで掘り下げていきたいと思います。

【設計事務所への依頼】

○設計について

「設計」とは建てようと思う者の思いを具体的に図面等によって第三者に伝えるる作業と思います。具体化するためにさまざまな要素が複雑にからみあいますが、それを解きほぐし、整理し、再度組みなおしていく作業です。

要素には、コスト・嗜好・生活・趣味・法規・耐久性・将来・感動・・・・・

それぞれいろいろな側面があります。家づくりは言い返ればいろんなことを選択し決定していくことです。その際、「設計」のパートナーとして設計者は施主に対して、さまざまな案を提示します。提示する選択肢は幅広く、それぞれの長所・短所が示さなければならないと思います。最終決定権は建てられる施主にあります。

住宅建築だからといって「設計図」なしでは出来ません。建築工事の組織内で意図が川の流れるようにスムーズに伝わる必要があります。そのために「設計図」は必要です。

そしてより細かく明確に意図し指示する為にはたくさんの「設計図」が必要です。

○コストについて

コストの高い安いという判断は相対的なものです。同一の品質・仕様のもので比べて金額の違いが分かります。

「設計図」によりその建物の品質が決定されます。設計事務所の場合、施工業者を選定する方法として、複数の施工業者への見積り依頼を勧めます。施工業者に工事金額の競争をしてもらいコストダウンと「設計図」による品質保持を図ります。

ハウスメーカーの場合、同一の品質で比べることは無理なことです。工務店依頼の場合施主が見積金額の内容まで検査することはかなり難しい作業だと思います。

経験的な数値ですと、工務店によって金額の差がかなりあります。その差で設計・監理費は賄えるように思います。つまりはハウスメーカーや工務店の設計施工の場合でも見積書に記載されていないだけで経費はかかるのです。ハウスメーカーの場合通常経費率が高いのでなおさらではないでしょうか。

また、コストが高いからすべての面で優れているとは限りません。低コストのものでも特徴をもった個性的な良いものはたくさんあります。要はそのものの特性を把握し適所に選択することと考えます。

○工事監理について

図面のとおり現場が出来ているかのチェックが「工事監理」です。

設計事務所に依頼する場合、設計者は、建築主から設計監理を直接委託されます。施工業者と設計者が同一の組織(会社)の場合、独立した立場で工事の監理ができるでしょうか。良心的な施工者は行っていると思います。が、人間ですから思い込みや勘違いはあります。第三者の「目」は必要なことです。設計事務所は建築主の技術的な代理者として、施工者に対して独立した立場で指示指導し、仕事を進めています。

住環境について

最近の建築は高気密・高断熱化によって建築の内部環境は外部の温度変化から守られ、より快適になっています。また省エネルギー・地球環境の観点からもさらに高気密・高断熱化は進んでいくものと思われます。
しかし、建築室内が高気密になることは、化学物質等による室内空気の汚染という新たな問題を内包していました。冷暖房機器により温度湿度制御された空気は、一方で換気不足を招き、建築材料や家具類から発散する有機化学物質が室内空気を汚染し健康への悪影響が指摘され「シックハウス症候群」等、社会的な関心事となっています。
また、従来、室内環境は照明設備による明るさの制御や温度・湿度の管理が主題でありましたが、室内空気の評価基準として、「臭い」や「細菌・カビ」なども重要な事柄となりつつあると感じます。

ある内科医院で「待合室やトイレの臭気が気になるが、何か良い方法はないだろうか」との相談を受けました。外来患者の待合室は18u(タタミ約11畳)ほどの部屋で臭気があり、またトイレはアンモニア臭がしていました。対策として換気扇や空気清浄機の設置・芳香剤を置く・清掃の頻度を増やす等、対策を講じたがあまり思わしくないとの事でした。
室内空気の換気を頻繁にして汚染された空気(臭い)をきれいな空気と入れ変えればよいのですが、冷暖房を効率よく作動させる為、直接的に換気を伴わない「光触媒」による臭気対策を提案しました。
今回はその調査を掲載いたします。

光触媒について
調査の概要
光触媒の施工状況
調査・検査の結果
まとめ

ティールーム

【偽装問題その後】up:2007.08.22

日頃の忙しさに、ついつい更新が疎かになりました。
さて、平成19年6月20日 建築基準法、建築士法等改正になりました。
内容は「構造計算」に限らず、「建築確認申請」の多岐に亘っています。「おかしなことが出来ないように徹底的にチェックせよ」更に「チェックする側もチェックせよ」です。そもそも検査する側はそれなりの「責任」が内在するのが社会の常と思うのですが、「建築確認申請」の場合、その存在が希薄に感じます。
確かに、建築の根幹に関わる事項が今回の事件の場合、見過ごされていた事は重大なことです。しかし、その解決策を「規制」という網でしか見出せないのは悲しいことです。
この事件の再発防止策の検討部門として、「社会資本整備審議会」の「建築分科会」に「基本制度分科会」が設置され平成17年12月より議論され、平成18年2月に中間報告として取りまとめされたものが、今回の改正です。
今後、建築士制度や行政機関の審査体制に検討のメスが入るようです。
しかし、真の問題は「規制(公)」と「自由」の狭間にあるように思えてなりません。

基本制度分科会 藤本委員の発言

改正に伴う建築確認業務についても様変わりしました。
たとえば、課長から顧客との打合せを任された部下に、「先方に行く際、交通法規は厳守したか」「条例違反(ポイ捨て等)はなかぅたか」等々 本題とは関係ない報告をさせるような感じです。確かに守るべき事ですが、報告するほどのことかなあ… 課長の理由は「お前を信用する根拠がない」ことと「部長に問われた場合に返答できないから」です。
心の中で「YES」か「NO」かという選択の答えのよりどころを、いつも求めてしまってはいないでしょうか。
「適度な」「ほどよい」等々、曖昧で通変的な定義が困難な領域、中間的な領域が最も重要に思えます。
多分このことは、日常 どこでも 養われる事なのでしょう。それを怠ったが為に、思いもよらぬ落し穴に遭遇すると「規制」という舗装道路しか歩くな と。これが解決策とは寂しいです。「落し穴」は道ではないことを学ばなければ。
格差社会とよく言われますが、環境や状況のことだけでなく、人の心の中に「格差」という境界を引いてしまっている気がします。

【構造計算書偽装問題 PART-1】up:2005.12.05

建物の設計の際、その建物の規模や構造(木造とか鉄筋コンクリート造、鉄骨造等)に関わらず建物である以上、台風や地震に絶えられなければなりません。
これは、建築物に関わらず人間が創作し使用するものすべてに共通するものです。すべてに「構造計算書」は存在します。使用に絶えうる強度を根幹に造られています。
建築の場合、強度不足は使用する人々の生命を左右します。 そのごく基本的で初歩的で最も重要な用件が軽視(無視といってよい)された今回の事件は、あってはならないことです。
「地震で倒れてもよいからとにかく安く」なんていうクライアントがいるのでしょうか?。私の感覚では殺人未遂の重大犯罪です。

建築物の構造(強さ)の基準は地震の歴史でもあります。1950年(昭和25年)に施行された「建築基準法」は大きな地震のたびに改正されてきました。
その第一条(目的)を書きます。

「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」

「建築基準法」の定めるのは「最低基準」です。それ以下はあってはなりません。

2000年(平成12年)10月6日、鳥取県西部地震が発生し、米子市も多大な被害を受けました。マグニチュード7.3 最大震度6強でした。1995年(平成7年)1月17日の阪神淡路大震災はマグニチュード7.3 最大震度7でした。建物の被害は50万棟以上です。
建物被害の中には施行上の不備も含まれるでしょうが、設計での「建築基準法」の構造基準の根幹をなす部分でさえ地震に対しては100%有効ではなかったといえるのではないでしょうか。
私自身、構造計算を行いますが、「この柱の大きさで良いか」などと自問し常に緊張しチェックし作業を行います。人の命をあずかりながらそれを軽視する精神構造が理解できません。
建築コストは常にクライアントから要求される命題ではあり、効率的に設計することはある意味設計者の使命でもありますが、構造基準はそれとは全く次元の異なる問題です。
あの設計者が日本でただ1人の設計であることを祈ります。

【自由設計=フリープランって?】up:2005.11.13

戸建住宅のチラシによくある言葉ですが、目にするたびに「自由」つって何?て思うんですが。私だけでしょうか。とくにハウスメーカーの広告でしょうか。盛んに強調されてるように思います。

一般的に言って ある「モノ」を造る場合、規格化して工場で大量生産すれば製作経費が分散され単価(1個当たりの値段)は安くなります。同じものを1個造るのと100万個造るのでは、当然単価は違います。
住宅建築の場合も同様で多種多様な材料・工法(やり方)等々細部に亘って規格化し、原価を極限まで下げ利潤の拡大を図ったものなのに。(品質管理の側面からは大きな違いがあります。その話しは別のときに-)
機会があれば完成見学会に行って『「自由」つってなにが?』て聞いてみようかとも思うのですが…。「自由と民主主義」の国の方なら間取りが選べる(または変更できる)程度のことをわざわざ「自由」なんて言わないでしょう…ちがうどこかの国なら納得ですが。

木造在来工法(地元工務店さんがよくやってる住宅です)の間取りの打ち合わせを、施主(クライアント)と設計担当者が行ってる場面です。

施主:「2階の寝室は8帖間じゃなくてベットとこの家具置くから長方形の部屋でこんな感じは出来ないの」
(平面図にエンピツで四角を描きながら…)
設計者:「いやー 1階の客間のこの柱が「通し柱」と言いまして取れないんですよ。それと壁量と言いましてスジカイが…」

結果は、建物の構造(強さ)が不安定になることを理由に施主の提案は却下され、お気に入りの家具は奥の納戸に置くことになりました。
これって総合的な設計から考えれば正解なんでしょう。
施主としても設計者に技術的な観点からの意見を求めてますから。寝室に家具を置くことと、建物の構造グレードとを比較して後者を選択した…ということでしょうか。施主としても普通すべての要望が具現化すると思ってないでしょうし…。

でも私の考えはちょっと違います。
この場合、施主は空間のイメージ(発想又は創造)についていっているのであって構造的見地の話しをしているわけではありません。この会話を議論とするならば、小泉さんがよく国会答弁でする「議論のすり替え」というやつです。
つまり「うまく逃げたね。」で私的にはバツです。
(建築設計の場合、この「議論のすり替え」は沢山あります。意図したものも無意識のうちも。これも別の機会に-)

この施主の「空間のイメージ」こそが「自由」だと思います。言い換えれば「自由」はそこにしかありません。

アーティストにしてもそうではないでしょうか。曲の発想やイメージこそが「自由」なんです。それをCDにして売るまでの過程は制約だらけでしょう。みんなこの社会で生きていて法律やマナーやルールという制約の中で生活しています。
ホントは誰しも「自由」という意味をよく理解していると思うのですが、だれも住宅メーカーの「自由設計」を誇大広告として抗議しないようです。せいぜい「選択設計」とか「チョイスプラン」が妥当だと思うのですが。

【no title】up:2005.01.18

『四角や丸や三角の水槽が選べることが自由なんて思う金魚になりませんように。大河の鯉から見るとコッケイでなりません。』

「自由」つまりは何が一番大切かということにつながるのではないでしょうか。

設計依頼となると施主が直接の知り合いということはまれで、何がしかのつながりでご紹介頂いてという場合が大半であります。
その場合、お互い初対面でご挨拶というのがまず緊張の瞬間です。紹介者からある程度の情報は頂いておりますが、それでも第一印象はとても大切です。当然初打合せですから突っ込んだ話は避けて「どんな雰囲気で‥」とか「どんな進め方しようか‥」などなど考えつつ話を進めて行きます。建築予定の敷地に初めて行った時と同じ様に、クライアントの最初の印象で建物のイメージがおぼろげながら浮かんできます。
打合せの話も盛り上がりつつ、こちらの頭の中も膨らんで‥少しこちらの頭の中のことをご披露しようか。いや待て待て 次回まで‥と言うパターンだと最良。

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